鯉のぼり

借金で首が回らなくなったという話をよく聞くが、借金と首の回転との因果関係がいまいちよくわからない。

わたしは今現在首が痛くて回らないが、これは魚のタタリであって、借金によるものではない。

いずれ首の傷み快癒の暁には、供養塔でも建てて、手にかけた釣魚たちの英霊を祭るつもりはある。

が、釣魚供養塔建立を先んじては、向後、魚たちへのしめしがつかんから、今はじっと痛みに耐えるばかり。

整形外科を受診し、薬をもらって、以後安静にしているわけだが、考えれば何のためにわたしは整形外科を受診したのかよくわからない。

処方された薬はすべて痛み止めであって、単に痛みを止めるためだけなら、じっと動かずに寝ておれば済んだことである。その方があるいは治りは早かったかも。痛み止めを飲んで不用意に動き、これが治癒に貢献するとは思われない。

痛み最盛期には、目の焦点が定まりにくく、ツバを呑むにも苦痛があった｡

自分の頭がこんなにも重たかったのかとビックリした。

わたしは背が高く、見かけ上は、小心ながら大男である。

医者の診たても大男にたいするそれであって、わたしの気に入らなかった。

彼は、いきなり、わたしの首を両手でねじったり、腕を強く引っぱったりした。

この乱暴な診察が、症状を更に悪化させなかったと誰が言いえようか。

パソコンを枕元に寝転がせて打っている。

寝たきり老人用のパソコンを早急的すみやかに開発すべきである。

天井いっぱいを液晶画面にすれば、カスミ目でも読める。

寝転んだまま外を見る。

目に入るのは、地べたではなく、概ね他家の屋根と空。

時節柄鯉のぼりが泳いでいる。

今日は風がだいぶ強いように思われる。