スタイル

ボート遊びを覚えてからはや４０年近くになる。

ずっとこの間、ひまさえあれば沖へでていたから、今、急に艇の故障で沖へ出られないとなると、戸惑ってしまって身の置き所がない。

とにもかくにも、わたしは暇さえあれば海に浮かんでいたわけだ。

例外は、盲腸の手術・ヘルニア手術・そして阪神淡路大震災直後の半年だけ。

ぎっくり腰、腰椎骨折の際も、身動きできるようになるとすぐに松葉杖ついて艇に乗り込んだ。

座っておれなくて、船内の床に寝転んで竿を振るったことがたびたびだったが、けっこうこれはこれでおもしろかった。

艇が故障し沖へ出られなくなってはや１か月半が過ぎる。

身体に別状ないのに、これほど長期に釣りから離れたことはかつてなかった。

真夏のこの時期、のっぺりした色白顔を世間にさらそうなどとは思ってもみなかった。

庭へ出てボーと突っ立ていると、

ボストンバックを屋根に載せた乗用車が我が家の前を行き過ぎた。先のカーブで、バックをドスンと道路へ振り落とし、気づかずそのまま走り去った。

車に乗り込む際にボストンバックを車の屋根に乗せ、そのまま忘れたものであろう。拾ってきて、入っていた携帯電話機をたよりに落とし主へ連絡した。受け取りに来られて、礼だと言ってブドウを置いて帰られた。

またなんぞ、おもしろいことが起こらんかなぁと思って通りをみているが、それ以後なぁんも起こらない。

これって、釣り的スタイルかなぁと思ったりしているところだ。