きっかけ

 

水温10.2度。水温は着実に上がっているようだった。

前夜の天気予報が凪だとのことだったので、朝から釣りに出たい気持ちはあったが、なんとなく気分が萎えていて、ずるずる時間が過ぎ、ようやく船を出したのが１０時半。

高砂の曾根沖４マイルの県漁礁で竿を出したのが１１時前。それから約１時間の釣りであった。上げ３分の地合いは既に過ぎていて、食い渋るのを承知の釣りである。

餌は青ゴカイ千円。

 

食ったようには思えなかったが、４本出した投げ仕掛けの内１本に手をかけ、ヤッとあおったら、グギッ！とアイナメ特有の感触があった。ドッスンドッスンとポンの突っ込みを竿の胴に感じ受けつつ大仰にタモで掬い取った。

或いは、残る３本の竿にも掛かっているかもと、ヤッ、ヤッ、ヤッ、とやってみたがスカばかり。

 

と、またしばらく後のこと、

ツッと、手を伸ばし、クッ！と竿をあおるともなく煽ると、チト変な感じである。

ややあって後、リールを巻き上げる間、オハッ・オハッとカレイの魚信だ。

花見カレイか？と、思ったが揚がったのはガシラ。

釣り感が鈍っている。

 

めんどくさいから釣果写真は撮らない。

つい先日までは、マリーナ事務所にミキちゃんという可愛い女子事務員が居て、彼女に見せると、黄色い声をあげて大仰に喜んでくれたものだが、この４月から姿が見えなくなった。

で、だぁれにも見せずに、持ち帰って、ポンとガシラは未だクーラボックスの中。

かみさんに、「ポンが居る」と伝えてはいるが、「たった１匹？」と言うたきり彼女もまだ見てみようとはしない。

萎えた気分は、当分の間、高揚のきっかけを掴めそうにもない。