横時雨　　

 

朝方、突風まじりの強い横殴りの雨。

「ごっつい雨や、こりゃ〜沖へ出られんわな」とわたし。

かみさんが、とがめて、

「自分が釣りに行けないものだから、またそんなイケズ言って、ダメよ！」

 

さみしい根性だと思う。

仕事があって魚釣りに行けず、だのに釣友らは魚釣りに遠征中。

気持ちが落ち着かずイライラする。

だが、こんな日、一転・大嵐になったら、気持ちが和んでゆっくりする。

笑みが自然とこみ上げて、

「気の毒になぁ〜、せっかくの魚釣りだのに、この荒れ模様じゃダメだわなぁ〜」と、なる。

 

昨日は昼過ぎから、釣友ジロウちゃんが友人と二人、四国は徳島・橘沖へ、鯛釣りに遠征中だ。

彼は、出かける前、わざわざわたしの勤め先に立ち寄って、工夫の擬餌針を披露し、これを差し上げようと、二つ置いて行った。

丸い小粒のナマリにヒラヒラのビニール片をくくりつけ、そのヒラヒラのなかに釣り針が仕込まれた擬餌針だ。

 

昨夜は、もらった二つの擬餌針を食卓上に置き、それ眺めつつ、落ち着かぬ夕食を摂った。

今朝も、この擬似針ともに食事したが、横殴り雨が部屋の窓を激しく叩いた。

ホッと、独り言ったのが、冒頭の、

「ごっつい雨や、こりゃ〜沖へはでられんわな」

 

かみさんに咎められ、エエ歳をして、恥ずかしいことである。

こんな、気持ちの狭い、いじけた根性は、わたしは大嫌いだ。

と、いうわけで、反省しつつ、

だがしかし、なぜかゆっくりした気分で今朝は出勤した。

雨は、昼前にはあがった。風も弱くなったような感じ。

良い釣りをなさっておられればよろしいが…、