釣り心　

フロイトの精神分析ではどう解くのかわからんが、昨夜の夢は、きっと「週刊釣りサンデー」の廃刊・解散ショックに起因するのである。

また、変な夢に責められるのではあるまいかという思いが、夢見の誘引になったに違いない。

くるぶしから下だけの、裸足の足が、ペッタン・ペッタン砂浜に足跡を付けながら歩いていた。

なんじゃこれ？

ビックリしてよく見直すと、くるぶしあたりにスカーフが捲いてあった。

なるほど、それで分かった。

と、なぜか妙に納得し、今一度見直すと、太刀魚だった。

バカバカしい！

だから、夢はケッタイなのだと、夢であることをしっかり自覚したとたん、目が覚めた。

目が覚めた今、これを判読するに、

「週刊釣りサンデー」が残した足跡を、ここ数日ずっと考え続けていたことが、深層心理に影響したものと思う。

砂浜の足跡は、刻印濃く、だが、途端にスーと消えてしまった。

くるぶしから下だけの裸足が、スタスタ歩く。ちょっとシャイなスカーフを捲き付けて。

これは、わたしの、「週刊釣りサンデー」に対する、気持ちというか評価が、夢の中に容をなしたのではあるまいか。

想えば、どこそこで何が釣れているとか、それはカクカクの仕掛けで釣るのだとかの、追っかけ記事が中心の冊子であった。

が…、

魚釣りの本当の楽しさは、魚釣り文化の深まりは、追っかけ記事に翻弄されるなかでは育たないのではないか。

わたしは、ずっと、このように思ってきた。

前夜の大雨で出来たばかりの水溜り。

そうとは知らず、糸を垂れる釣り人。

それを知りながら、そばで、一緒に竿先を眺める人。

このなかにある釣り心をこそ、抽出したい。