別冊「波平波枕」２
「波平波枕」をお届けした先から、次々と郵便が届く。
受け取ったとの連絡がてら、なんぞかんぞ書き添えてあって、これがおもしろい、いや、嬉しい。
なにより嬉しいのは、少しはお読みいただいていてこそ、と、思われる言葉が断然多いことだ。
お届けはしたが、お目に止まるかどうかさえ危ぶまれたお方から、「一気に読みました」などと返事があると、わたし、舞い上がって、天下を取ったような気分になる。
勤め先から帰宅すると、一番に、パソコンメールを開くが、こういうメールが入っていたりすると、目の前の人生が、パッと桃色に輝いて、その後の晩酌が美味いのなんの、ついつい呑みすぎることになる。
でも、舞い上がっているばかりじゃしょうがない。嬉しいものだから、繰り返しお褒めの言葉を読み返すが…、ここからが、変なのだが、次第に、はかなく・なさけなく、反転した落ち込み気分になるのはどうしたことか。
１．あなたが、こんなこと出来るなんて、ぜんぜん知らなかった。
⇒これって、ホメ言葉であるに違いは無かろうが、こう言われて、はたして喜んでばかりいていいの？ ひょっとして、あなた、わたしのことをくだらんやつだと思ってなかった？
２．ゆうゆうたるもんだな、気楽なやつだ。うらやましい。
⇒なにが、悠々たるものか！ 道楽が過ぎて、家屋敷の表札維持が危ぶまれておる。それに、あんた、いつも、わたしのこと見とるじゃないの。ワイのグジグジした生活、見え見えでしょうが。なんなら、サイフのなかをお見せしようか。逆さに振ったってジャラ銭しか入っておらんよ。
３．ようもこれだけ色々なことが書けますな？ これでメシ食ったらよろしいのに。
⇒プロ・アマの間の、溝ってやつは、文筆の世界も厳しいみたいよ。どなたか、わたしのエッセイ買ってくれる人知っておいでなら、紹介してちょうだいな。
鉛筆の芯いくら舐めたって腹は膨れませんぜ。
４．ボート遊びは金がかかりまっしゃろ。皇帝・貴族の遊びですなぁ。うらやましい！
⇒羨んでください。ついでに、金持ちの真似がいかにシンドイかもわかってネ。あぁ〜、中古・大古オンリーの世界から脱皮し、夢の新品世界へ移籍したいものでありますな。
５．ワンちゃんたちはお元気？
⇒ハイ、元気です。ワンちゃんたちのことが気になるような、そんな気持ちで、「本（拙著）」をお読みいただいていたなんて、わたし、ホントうれしい。こういう問いかけって、ホカホカしたエエ心地を運んでくれるような気がするなぁ。