お休みなさい

高浜虚子の句に、

“去年今年（こぞことし）貫く棒のごときもの”

という句がある。

毎年、年末年始になると、この句を思い出し、

さもありなん！と、先人の感興に感心し、おのれの年々の油断を反省しているが、

また、今年も、年末に立ち至って、ふと、例によってこの句を思い、

今、まさに、棒が、今年と、来年の、間に突き進み・突き抜けつつあるような、妙な実感を得た。

時空をそれなりに実感する経験は、これが始めてである。

動きは動きであって、動きの実態をそれとして捉えるなんて出来ようがないと思っていたから、どう表現してよいか分からんが、なんとなく棒が突き進みつつある様子が分かったような心地は、ある種得がたい経験であったかもしれぬ。

なんかこう、瞬時・瞬時がめんどくさいというか、もったいないというか、なんとかせにゃならんというか、せからしくもあり、アホげたことのようでもあり…、

で、また、詰まるところ、辞世の句でも作ろうかと思ったりするわけだが、とは言っても、言い残すことがさしてあるわけでもなく…、

さっぱり、句が出来なくて、イライラするが、

今ただちに死ぬと決まったわけでもないからは、

まぁ、今日のところは、これでエエとして、

風呂にでも入って寝ましょうかな。

はい、お休みなさい！