こすり　　

 

４１Fｔの豪華クルーザー「仮称・トトロ」艇が、群青色（濃いマリンブルー）に染め上がって、いよいよ“艶出し磨き”作業に取りかかったようである。

幾度も幾度も塗り重ねた後、満を持しての磨きだ。塗装の厚さは半端じゃない。専門職人３名が、なにせ約１カ月間も、ひたすら塗り重ね続けたのだから。

噴霧上で塗料を拭きつける。ハケで塗りつける。と、また、噴霧機で吹き付けている。職人らは、延々と、艇体を撫ぜさすってきた。

 

磨きは、回転式の機械ミガキが中心らしい。

が、磨いた後から、もう一人の職人が、またハケで塗料を塗っていた。きっと、艶が気に入らなかったのであろう。

「いつまで塗っとるのや？」とわたし。

わたしは、短気者だから、気になってしかたがない。

「納期は２５日です」と職人のかしら。

どうやら、トトロとっつぁんは、ピカピカ艇で新春の海を走る魂胆らしい。

 

わたしは、この日、「はまちどり」艇に取り付いて、キャビンの前面・側面のガラス窓をこすった。

バグちゃんからもらったボート専用洗剤をつかった。なんでもかでもヨゴレが落ちると添付チラシにあるが、あんがいそうでもないから、これはコスリが足らないのであろうと、ひたすらこすった。で、めんどうになってやめた。

どうも、辛抱が足りないようだ。透かし見ると、まだまだミガキが不十分で気に入らない。

 

化繊ロープは直接日光にさらしておくと、強度が落ちるようである。一部取り外してキャビンに移し変えた。

と、艇体外部の喫水線付近が色変わりしていて気に食わない。

前述バグちゃん洗剤を強め倍率に溶かし、これでもってワッセワッセやった。すこしは白くなったような気がするが、あまり効果はないみたい。

わたしの操船技術はたいしたことない。艇体のあちこちに、接岸時につけた傷跡がある。これは、どうコスリあげても消えたりはしない。

 

エンジンルームのカバー上に弁当を広げる。

３５０円の寿司パック。エビのてんぷら１５０円を一つ買ってきた。このあとすぐに車に乗るからビールは無しだ。代わりに牛乳紙パックにストロー。

見るともなしに、トトロ艇の塗装作業を見ている。

職人３が、大きな艇体に取り付いている。