鼻ヒゲ・２　

鼻ヒゲは、みなさんにお見せして後、剃るつもりで、鼻下に養育しておったが、今日、一応、見せ終わったから、明日は剃るつもりだ。

大いなるイベントのつもりであったが、当初予定していた“初笑いを取る”という企ては、失敗であった。

みなさん、まじめな顔でわたしを見つめはするが、だぁ〜れも、笑わなかった。

「今年はお髭をたくわえられて…」とか、

「うーん、もうしばらく掛かりまっしゃろ」とか、

およそ期待はずれの言葉を少し戴いただけで、ぜんぜんおもしろくなかった。

ところで、

先日、鼻ヒゲの威力でもって、ジャン敵を打ち負かした話をしたが、

内１名から、「おれも次回は鼻ヒゲで参戦するから、そのつもりでおれ！」と、通達があった。これが、最も気の利いた唯一つの応答である。

呑みすぎ・夜更かしなど、年末から年始にかけての不摂生がたたって、血圧が沸騰し、今朝、罹りつけの医院へ受診に出向いた。

待合室に、しょげきった感じのおっさんが、りっぱなヒゲをたくわえて座っておった。

わたしの番が来て、呼ばれて、診察室へ入ると、

医者は、ヒゲばかり観て、診察に気が入らないようだった。

血圧低下の頓服を処方してもらい、待合でその薬を待つ間、手に開いた週刊誌に、ヒゲ面のフセインが無惨な姿をさらしておった。

あぁ〜、もうヒゲが嫌になった。

明日は、絶対、剃り捨てることにする。