覚　悟　　

風邪を引いたらしい。

昨夜から身体の節々がかったるく、どうにも身のもって行きようが無い。

頭がキリキリする。腹の具合が思わしくなく食欲が無い。

ゾクゾクし、いっぱい着込んでフトンにもぐりこんでいるが、それでもなお寒い。

頭はもうろう。気力衰え。ラチも無いことを、いつまでも想う。

横になっても眠れないのに、とても眠く、アクビばかりが連発する。

耳の後ろあたりが痛いのは、血圧のせいかとおもう。耳がツーンとなって、なにやらジーという音ならぬ音が聞こえる。

やたらのどが渇き、たびたび水を飲む。

しばらくすると尿意が生じ、めんどくさくてかなわん。なにせたくさん着込んでいるので、ナニをほじくりだすのがやっかいである。

気分を変えたくて、髭を剃ったが、少しも気はあらたまらない。

鼻の下あたりの髭は、昨年２８日以来剃っていない。

だいぶ格好が付いてきた。初笑いに打ってつけだから、だれか来ぬかと待ち構えているが、だぁれも来ない。

昼食は、ウドンを食った。胸が悪かったが我慢して食った。ジト〜とアブラ汗が出た。

この風邪、はたして治るだろうか？

このままあの世へ行くことになるのではあるまいか。

辞世の句も、まだ用意していないのに。

治るような気もするし、このままお陀仏のような気もせぬでは無い。

はかないような気がするし、さしてはかなくもないような気もする。

微熱がある。

例の、不治の新型肺炎だったらどうしよう。

腹が減っているのに、食いたくない。

酒も、今は、呑みたくない。