お祓い　　

未だ修理を待つ愛艇「はまちどり」の慰撫に、マリーナまで行ってきた。

発注したエンジンは、既にアメリカから日本に着いていて、マリーナへは今週１９日に届けられるそうだ。

待ちかねて、待ちかねて、わたし、もうほとんど気が狂いそうになっている。

きっと、目が血走っていたのでしょうね。

マリーナの技術の若い衆が、わたしの顔を見るなり、

「１９日の、昼までか、昼からかわからんし、着いても、荷解きしたり、○△□したりせなあかんし…ブツブツ…」と、下を向いてつぶやいた。

なんぼなんでも、わたしだって、それくらいのことはわかる。

エンジンが着いたとたんに、乗って沖へ出ようとは思っておらん。

だけど、１週間も２週間も待つ気はない。絶対待てん！

３月には、絶対に、艇を浮かべたい。

３月に入っても、まだ艤装にグズグズしていたら。腹に爆弾巻きつけて、マリーナで自爆してやる！

水ッケが切れた艇って、かわいそうだねぇ〜、ＦＲＰ製の艇体だけど、乾ききってコツいたらポロポロ崩れ落ちそうだ。艇にキャタツを立てかけて、這い登ったけど、涙が出るなぁ~。

艇が言うわけですよ、

「とっつぁん、まだかいな！」ってね。

さんざ、あちこちコスリ倒して、もう掃除するところないもんね。

あのね、

年寄ってぇのは、脂気が少ないのよ。

若い頃は、毎日毎日風呂で身体中に石鹸なすくって、ゴシゴシを洗ったものだけど、６０を半分近く越しますとね、あまり洗いすぎると、脂が落ちきって、パサパサになってしまう。艇でも同じです。愛艇は中古で結構年食っている。洗いすぎるのはよくない。イジメルような、けずるような心地がする。

オシッコは短くなるし、脂はのうなるし、気はますます短くなるし…、

もう、これからは、艇の故障で、苦労するのは嫌だもんね。

エンジン据付が一段落したら、

神主さんにお願いして“お祓い”をしてもらおうと思っている。

苦しい時の神頼み。

神さまにも、賽銭取るばかりじゃなく、それなりに頑張ってもらって、艇の後押しのこと、しっかり頼みたいと思っておる。

大漁満足・五穀豊穣・航海安全・子孫繁栄・老後安泰…、子供はないから、その分、安くならんかな。