プライヤー  

 

愛艇の現役復帰とあわせて、わたしも、現役復帰せねばならんが、あまり久しく海から離れていたので、何を、どう用意し、整理したものか、さっぱり要領を得ない。
艇がダウンしたのは昨年10月末の釣り最盛期。ハマチのジギング釣りに夢中の時だった。それが、ほぼ5百年(実際は5月弱)の中抜きで、いきなり現役復帰。現代版浦島太郎の心境。

今朝、懐かしや魚釣りさん、と、釣具箱のフタを開けたら、三筋の紫煙がモワァ〜と立ち上がり、わたしはビックリして後ろへ飛びのいた。

 

先日、東京幕張のボートショーで、緊急バッグ用の水密収納袋をひとつ買ってきた。
マクラくらいの大きさ。これに緊急サバイバル用品をセットし、常に救命ボートの側にくっつけておくつもり。

で、さしあたり、その袋への詰め物の用意から始めた。

 

いろいろ考えて、あれこれを座右に並べ、袋に出したり入れたりしていると、かみさんが、

「もう危険な場所へは行かんでよろしい」と言う。

気がそがれ、バカバカしくなり、せっかく入れたものを、全部ぶち開けた。ぶち開けて出てきた物を改めてみると、変なものばっかりである。遠足の準備じゃあるまいし…。

 

じっとしていられなくて、ホームセンターへ出かけた。

小道具をあれこれ物見し、フイッシング・プライヤーをひとつ買った。

ステンレス鋼製の鍛造品。上等品だ。メタルジグのスプリットリングの付け替えに特化した牙つきプライヤー。ワイヤーのカッター機能もしっかりしている。全長20センチ強。手のひらにフイットし、重さバランスも抜群。シャープな感じ。

 

わたしは、ホームセンターが好きだ。ここをうろつくと、ついつい時間と、我を、忘れる。行く都度に何やかや、買わでもがなの小道具を買ってしまう。

プライヤーを買うことが一番多いようである。先日、艇内を徹底的に掃除した際、艇のあちこちから、未使用のプライヤーが幾つも幾つも出てきてビックリした。

だが、今日買ったプライヤーは、それら既存のものとは、一味違った趣の一品。どうしても欲しかった。

いま、これを、手にし、緊急バッグの常備品に加えようか、それとも、さっそく使うことにしようか、迷っているところ。

右手に持ったり、左手に持ったりして、クキクキ動かしていると、長くなったようでも、まだ春浅い二月の宵。はや外は暗い、もう夜になった。

艇は、まだ直っておらんのだ。急ぐにはおよばん。緊急バッグ出番までには、まだ間がある。

♪よーく考えよ〜、命は大事だよ〜♪