目　玉　　

 

艇もほぼ修繕が終わったことだし、来月初旬には、簡単な進水式まがいのお祓いをして、いよいよ現役復帰としたい。

ところで、お祓いだけど、

祓ったあとに、またぞろ悪霊が舞い戻るのは困る。ここのところをどうガードしたものか。

 

地中海マルタ島へ旅してきたといって、艇友バグちゃんが、目玉の模型を土産にくれた。

マルタの漁船はみな船首に目玉を描き入れているそうだ。魔除けらしい。

バグちゃんは幾つも目玉を買ってきて、艇友らに、これを付けろと配り歩いている。

手のひら大の木製目玉。結構高価なものだったらしい。眼球部分にはガラス玉様のものがはめ込んである。木製部分はドギツイ地中海原色。青は青。赤は赤。くすんだ中間色は地中海には無いみたい。

 

で、わたし、愛艇「はまちどり」から悪霊を祓い出したら、そのあとはこの目玉に、悪霊が艇にとりつくのを撃破させようと思う。ヨシ○に、この目玉模型を、船首の見栄え良いあたりにくっつけてくれと頼んでおいた。

バグちゃんに聞くと、目玉は、アチラでは、もともとは黄泉の国の支配者らしい。それが転じて、今では、この世の正義を後押しする神となっているとか。

 

お祓いには、曽根天満宮のお出ましを願うつもりである。

わが国の神様は、皆さん、ペラペラ紙をくっつけた御幣（ごへい）というものを打ち振って悪霊を追い払う。御幣を振ると、悪霊はすべからく逃げ去ることになっておる。

神や霊に東西の別があるか否かは定かでないが、祓い役の神職には、目玉は追い出さなくてもよろしいと、注意喚起しておこう。

 

それにしても、

御幣を構え、艇の前にすすんだ禰宜（ネギ・神職）、

船首に描かれた大きな目玉に、ビックリ仰天し、腰を抜かさねばよろしいが…。

こんな目玉船に、御幣振って、はたして効くもんやろかとか、

主役の神様が、「ワシャ怖い！」と、泣き言いったりとかしたらどうしようか。

 

神々や春大安の船出かな　　　　　隠居　　波平