弟子修行　

 

自宅がリホーム工事中である。

 

大工が来て、基礎屋（土台屋）が来て、電気屋が来た。

次々と職人等がやってくる。

時間配分がすばらしい。

流れ作業的に工程が効率よく組まれている。

総合調整役がシッカリしているのであろう。

 

各種職の職人集団は、それぞれ親方と弟子のセットでやって来た。

優秀な職人たちだ。意思統一がすばらしい。

弟子は、常に親方の動きを追っていて、親方の仕草だけで、次の動きを察知する。

弟子は弟子なりに、自分の働きどころに責任を負うかに見えて、なんとも頼もしい。

 

それでも、親方から叱責の声が飛ぶ。

すべて命令口調。言葉は短い、要領を得ている。号令に近い感じ。

バカタレ！とか、このアホ！とかのバカ扱いの言葉はない。

名前の呼び捨てがほとんど。親方は、怒鳴り声で弟子の名を呼び捨てにする。

と、弟子は、おう！とか、ハイ！とか言う。

弟子等は、親方には、何を話すにも丁寧語である。

 

仕事振りを見ていて、若者等には、弟子だ、修行だとの自覚が強いように思えた。
茶髪のアンちゃん等である。

昼飯の時、路上に座り込み、分厚いマンガ雑誌に見入っていた。

わが家は、今日は、かみさんが不在で、お愛想が思うようにできない。

わたしは、彼等が昼休みの時、大急ぎで湯を沸かし、茶の接待の用意をした。

 

住まいながらのリホーム工事。家中がごった返している。

が、楽しい。

わたしは、職人らの動きを観て、目の保養をしている。
親方らは、わたしに子があれば、子ほどの年代。その弟子たちは、孫の年代。
親方等は、わたしのことを「ご主人！」と呼ぶ。
ジイチャンと呼ぶのは、失礼だと、思うのだろうか。