疲れあり自重す  隠岐海戦13

 

イーグリットUとの出会いに感激が大きかった分、別れてみると、気が抜けた。

親子の出会い、兄弟の出会い、夫婦の出会い、友との出会い…、

人生いろいろ、会っては別れるの繰り返し。

会うも、わかれるも、よォーく考えれば、さしたる違いがあるわけじゃない。

さぁ〜て、今日は、ヨシ○を新門司マリーナへ届け、別れにゃならん、と、わたしは、思っているわけだが、

当の、ヨシ○は、

波平オジンだいぶ疲れが出てきたみたい、今日は俺が居るからエエようなもんやけど、俺が新門司で下りたら、後、どないなるのやろ?と、でも思っていたのではないか。

ズバリ、それって、当たっておる。こう毎日毎日睡眠不足と深酒を続けて、そういつまでも真っ直ぐ立って居れるわけがない。正直なところ、予定では6月2日の帰港ではあったが、ヨシ○下ろしたら、途中どこかの港の宿へ入って、一・二日休もうかと思ったりしておった。

 

だが、そのようなそぶりは、見せはしない。元気溌剌、ヨシ○を叱咤し、6月1日の航海を始めた。

わたしは、幾分、得意でもあった。ヨシ○はこの海域航海は始めてである。わたしは、経験者。なんぞかんぞ講釈を垂れながら、彼に教えるのである。

曰く、響灘と、玄界灘の特性。曰く、下関漁港の入出港要領。対馬暖流の方向と特性。ヨシ○はなぁ〜んも知らんから、ホンマかいなと聞いておる。知っていたらあほらしくて聞けないものを。こんな重大事をわたしが知るわけないじゃないか。

だが、わたしの得々とした気分に変わりがあるわけじゃない。気分がよかった。

関門海峡に近づいて、操船を代わり、例によって講釈垂れながらヨシ○に操船の妙をお見せした。どうじゃ!波平の実力思い知ったか!

 

新門司マリーナでヨシ○下船。

 

ヨシ○は、当マリーナ上架中の50Ft艇を、これからオーナー同船の上、播磨マリーナまで回航するのである。

可能なら、わたしもこれに並走するつもりであった。

が、しかし、わたしは、前述のように、疲れており、どこかの港へ入って休もうかと思っておった。また、休むことなく、どこかで、例えば豊後水道で関サバなど釣ってみたいとも思ったりしておった。

で、ヨシ○を下ろし、すぐ出航した。

周防灘を国東半島先端めがけて走る。半島先端に姫島がある。姫島まで行って、さて、別府湾側へ回り込もうか止めようかと迷った。元気な時だったら突っ込んでいただろう。だが、体力の限界ということもある。思いとどまり、艇を伊予灘北方へ向けた。艇速を上げる。25ノット。突っ走って、大三島まで行き、そこで仮泊する気持ちになっていた。