参ったか！　　

 

わが家玄関のたたきにベトベトしたドロが揚がっていて、水で洗い流しておくと、また知らぬ間にドロが揚がっている。

飼い犬２匹が、また、汚れた足のまま部屋へ入ったな、と、ゲェスケ・ショウタを叱り飛ばし、雑巾で２匹の足を拭く。

てっきり、２匹の犬らの仕業だと思っていたが、ひょんなことから上を向いてみると、ドロの揚がっている真上にツバメが居た。

ツバメがしきりにやって来る。

レレッ！ひょっとしたら！

そう、ツバメの巣造りです。只今、巣の、基礎造りの段階。

ドロを玄関の天井壁にくっ付けようとして、失敗したのが、下へ落ち、玄関のたたきを汚していた。

 

玄関先のど真ん中、真上である。家へ出入りの際は、どうしても通らねばならぬ箇所。

かみさんが、悲鳴をあげて、造作中の巣の撤去を言うが、

「こりゃオモロイ、ツバメが巣を作るような家に住みたいと、パッパはずっと思っとった」と、わたし。

「なんぼなんでも真上よ、ここはあかん」とかみさん。

「いや、ここでもかまわん。邪魔したらあかん」とわたし。

で、結局、玄関たたきのど真ん中に新聞紙を敷き、この上にくっ付け損ねたドロを落としてもらうように取り計らった。

 

ツバメがやって来ても、なるべく視線を合わせないようにしているが、気になるからついつい見てしまう。

ツバメと視線が合って、わたし、会釈したつもりだけれど、ツバメはびっくりして飛んでいってしまった。

それ以後、気のせいか、ツバメがなかなかやってこないような気がする。

心配でしょうがないが、玄関先に陣取って空見上げていたりしたら、よけいに怖がるだろうから、そしらぬ顔を装っているしかない。

 

もし、このまま、巣造りが中断するようなことがあったら、

玄関天井の、ど真ん中は避けて、少し脇に、巣造り用の台を取り付けておこうと思う。

リフォーム工事の足場が撤去されてから、まだ１０日と経ってない。だのに、ツバメがやってきた。

うれしくてしかたがない。

家族が増えるってこんなにうれしいのか。

海も空もワガテリトリー。そんな気がしておもしろい。
この梅雨空一面は俺のツバ公の庭だぁ〜、

どうじゃ！参ったか！