指 先  

 

友人が、「おまえ、次から次に、ようもまぁ書くことがあるもんや」と言う。

種を明かすと、

わたしはただ習慣的にパソコン前に座るだけ。

なぁ〜んもしておらん。

 

デスクトップ型パソコンの周辺に数種の焼酎を置いている。

焼酎ナメながら、新聞読んだり、本読んだり、インターネット・サーフィンしたり、パソコンでTV観たりする。

飽きたら、ワードを開き、そのときの感興や思い付きを少し打ち込む。

このとき少し考える。

が、ここから先は、人差し指と中指の動きに任せる。指先は動くが、わたし自身は何もしておらん。要するに、書こうとして書いているわけじゃない。

 

もし指が勝手に動かないようだったら、そのまま寝床へ直行するだけ。こういうときに限って、翌朝早く目が覚め、気がつくとパソコン上で指が動いておる。

 

疲れがあると、いつもなら勝手に動く指先が動かない。

めんどくさい気分ばかりが広がっていて、な〜んもせずに寝転がっていたい。

酒呑むことすら面倒だ。酒呑んだあとの高揚した気分を思うと、なぜか情けない。

こういうときが、最近たびたびあって往生する。

ジッとしていたいのに、やれゴミ出しに行って来いだの、何をどうしてほしいだの、あぁだこうだと、なんのなにがうるさく言う。

あぁ、うんうん、と、聞き届けたふりして聞き流すが、はなからやる気がないわけだから、そのまま忘れてしまう。

 

こういうウツウツした減退気分からの脱却は、わたしの場合、指先からである。

ボ〜としていて、ふと何か気にかかることが思い浮かぶと、これ幸いと、その思い付きを捻ってみる。

関連事がありそうだとなると、最初のキーワードをパソコンに打ち込み、あとは指先の勝手な動きにゆだねる。指先が動けばよし、動かねば、寝てしまうだけだ。

幸いにして、動き、一遍が出来ると、HPにアップする。

アップして、読み返すと、公開に適しない内容だと思うことがある。⇒即刻削除する。

以前は、即刻削除編が多かった。

が、最近は、ほとんど削除しない。

削除しない分、内容はどうでもよいような軽い物になっている。

 

RANDOM仲間のOMが、わたしの泣き言を聴いて、

「おまえは一種の虚脱状態にあるようだ」という。

そういわれて、エッ!と、虚を突かれたような心地がした。

この一遍は、

 “虚”が、わたしを突き動かし、それに指先が連動し、かくは勝手にパソコンキーを打ったのである。

わたしは、なにもしていない。