孤高な釣り  

 

このところしばしば一緒に釣りに行っていた“Y氏”と仲たがいした。

原因は、いつにかかって、わたしの過激な言動である。氏の側になんらの原因があったわけではない。

わたしは、自分の言動を、必ずしも適性なものであったとは思っていない。勝手きわまる失礼な物言いであったと思っている。そのわたしの言動は、このHPの掲示板に明らかだ。

 

わたしは、ある種反省している。

が、しかし、これはわたしの本音であった。本音に、いささかの虚飾もまじえず直裁に言い切ったのだった。

 

氏には、わたしの釣りを理解して欲しかった。

Y氏には、わたしとおなじ釣りの楽しみ方をして欲しかった。

氏には、わたしにない優れた面が多々あって、氏から学ぶべきことが多いと感じていただけに、なおのことこの思いが強かった。現に、今、わたしは氏の釣技を真似し研究しようとしている。

 

わたしは今更ながら自分の短気さにあきれている。そして、自分の勝手さにも。

さわさりながら、

わたしは、Y氏が、あの優れた氏の釣技を魚釣り公園で行ったことに、そしてわたしにもやってみるよう勧めたことに、言うに言われぬ違和感を感じた。わたしなら、魚釣り公園であの釣り方は試みなかった。

氏の、あの釣技は、途切れなく撒き餌をし、その撒き餌が帯状に流れるなかに針を忍ばせるフカセ釣り技法である。

昔からある技法ながら、撒き餌を帯状に流す技法と、忍ばせる針とその位置の管理技法に、斬新な工夫がある。あれをやると周辺の釣り場環境は変化せざるを得ないだろう。ほかの釣り人がウキ釣りを楽しんでいる魚釣り公園で、行うべき釣技ではない。

 

“釣り競う釣り”とか、他流試合とか、外道の魚を云々とか、言を過激にしたのはわたしの奇妙な興奮が言わせた。

いきなり叱責されて氏はショックを受け、ビックリしたに違いない。

このショックが、氏をして、やりすぎに気づくきっかけたらんことを願ったのだった。わたしは、氏が、またぞろ魚釣り公園で、あの釣技を試みることを止めたかった。

 

が、氏には氏の世界があった。わたしは、氏自身の、あの釣技への自覚を良しとはしないが、この評価はわたしの狭隘な判断から出るものであった。

氏は立派な大人であって、わたしの危惧するあたりは、あれもこれもすでに自家薬籠中のものであった。氏が書き込んだ掲示板から、氏の大人の自覚が読み取れる。

 

わたしは、得がたい友人を無くしたようである。

しかし、しかたがないことだ。わたしには孤高な釣りが似合っている。