なんでだろ〜　　

 

昨日（７月３０日）、台風１０号来襲中の報を背負って、

大阪から⇒九州大分中津港まで、直線距離２０５マイルを、一気に突っ走った３４Ｆｔプレジャーボートがある。

通常なら考えられない暴挙。

私が、この計画を知ったのは、前日２９日の夜７時過ぎ。

即刻、出航中止すべしと、口を極めて勧告した。

が、スキルアップにつながるかな、と、のんきな返事しか返らなかった。

 

翌３０日朝４時に大阪湾を出航した艇は、明石海峡根元の垂水港で、○×を乗船させ、一路西へ向かった。

すなわち、

わたしが、同艇の出航強行を知ったのは、艇が、小豆島西の豊島西水路を南下中の時である。○×が、いま２５ノットで走っている、と、メールを寄こした。

 

既に、計画強行の気持ちは決まっており、もうＩＮＧ状態にあり、いまさら引き返すことなど出来ようもないと思われた。が、しかし…、

わたしは、怒声をもって○×を怒りとばし、なお言うことを聞かないなら、貴殿帰還の後、貴殿の尻に大きなお灸を据えるであろうと、言明した。

海は、なお凪ぎの様相であって、台風来襲がウソのように思えるらしかった。

 

刻一刻と、状況報告が、○×からメール（携帯）送信されてくる。

自信満々で出航した彼等ではあったが、やはり、頭の隅には“こりゃ無茶やなかろうか”との危惧の念があるらしかった。

わたしは、引き続き、継続航行の中止を説きつつ、天気図を睨み、前方海域の予想海況を伝え続けた。

豊後水道の北側を九州側へ航行する際、暫時外洋の波を直接的に受けることになる。

艇は２０ノットで走っているとのこと、ウネリが襲い来て、走り辛くなったのであろう。

 

最終目的地・大分の中津港は、周防灘の中間あたりである。大きな港だ。が、防波堤は北東方向が開いた形。台風進路から見てこの方向からの風が予想されなくもない。

彼等は、事前に、この港のマリーナに受け入れを要請し、快諾を得ていたようだ。

それなりの受け入れ態勢があるとして出かけたわけだが、現地でははたしてどうだったのだろう。

午後３時、“中津港へ無事着岸”のメールが届いた。

 

わたしは、彼等に、航行に先立って、そして航行中も、常に中止を言い続けたのであった。この間に相当嫌味なコトバも発した。

「コラ！命のことをなんと思っておるのか！エエかげんにせなあかんぞ！」

と、携帯メール上ではあるが、怒鳴りつけた。

が、しかし、かれらは、航海後半多少ウネリ高まるなかで難儀したろうが、ほぼ凪ぎ状態のなか、この日、クルージングを楽しんだのである。

 

わたしは、また、落ち込んでいる。

いわずもがなの、きついコトバで、かれらの楽しかるべき航海に、終始水を注し続けたことが、またぞろわたしの胸にこだわりを生み、自己嫌悪の芽を植えつけている。

わたしバカよねぇ〜、オバカさんよねぇ〜、

俺は、いったい、何歳になったのだ！

瞬間湯沸かし器みたいに、カッカ、カッカしたとて、だ〜れも、俺の言うことなんか、聞いてくれんやないか…。

 

今朝、思いもかけず、○×から、メールが送信されてきた。

昨日の艇の、オーナーの奥様から、

「なんでこんな台風のなかに九州へゆくの！あなたが行ける言うたの！」と、怒りの電話を受けたとある。

○×、が、続けて言う、

「なんでだろ〜、ナ、ナ、ナ、なんでだろ〜♪♪」

 

○×の肝っ玉がうらやましい。

 

わたし、朝から、また、また、落ち込まなしゃ〜ないみたい。

「なんでだろ〜、ナ、ナ、ナ、なんでだろ〜♪♪」