ありのまま　　

 

１３年間で１３万キロも走った車だが、どこといって故障したことが無い。

だが、車検のつど部品取替えが増えるし、排気マフラーに穴が開くなどのことが出てきて、そろそろ次の車に乗り換えた方がよいかもしれない。幾度か買い換えたタイヤも、またまたツルッテンになったことだし…。

と、ホンダの真っ白なＣＲ―Ｖ（四輪駆動のＳＵＶ車）に乗り換えた。

以前の車は、ホンダのセダン・インスパイアだったから、今回のＣＲ―Ｖは以前のより、安い車である。しょうがないよなぁ〜、僕かぁ、海の方に比重かけているもんなぁ〜。

 

昨日が新車納品日だった。

さっそく義弟チカドン宅まで試乗したが、乗り心地が予想に反し悪い、と、かみさんが不機嫌だ。

前の車・インスパイアは、十三年前の昔でも、今回購入のＣＲ―Ｖより百万円も高かった。

その分、乗り心地が悪くなったって、それはしょうがないだろう。

だが、ものは考えようだ。悪路を走っても、すべるような乗り心地だったインスパイアは、どこか身分不相応で不自然な気がしてならなかったが、今回購入のＣＲ―Ｖはジープ仕様のＳＵＶ車。わたしはアクティブな方が好みだ。デコボコ道はデコボコしながら走れはいいじゃないか。

 

何事によらず、“ありのままでありたい”との思い入れが、年々強まるばかりだ。

なんでもかでも、ありのままでありたい、と、わたしは思う。

お金持ちでもないのに、身上以上の高価な車に乗るなんて、不自然である。ホンダ・ＣＲ―Ｖがサイフ的には限界だ。これ以上は手が出ない。 

 

車への乗り降りの、立ったり座ったりは、若い者は気がつかんかもわからんが、ヨッコラショ・ヨッコラッショと、大変なのだ。座席位置が低い分、セダン型乗用車はシンドイわけだ。その点、ＳＵＶ車は座席位置が高い分、乗り降りが楽である。座席もセダン型のズドーンと尻が沈み込むのより、幾分堅くても腰がシャキッとするＳＵＶ仕様の方が楽だ。ホンダのＣＵＶは、わたしにとって、ごく自然な選択であった。

 

ところで、ここ連日、震災関連ニュースが飛び交っている。 

地震で土砂に埋まった乗用車の中から、男の子が４日ぶりに救出されたニュースが、盛んに報じられている。

ニュースは、ありのままの状況を、客観的に伝えることが基本。が、しかし、このたびのニュースは報じられる都度、内容が大きく変化し、３人の心臓鼓動がいつの間にかウソだったことになってしまった。そのとき、そのときの、とらえ得た事実をありのままに報じたら、そういうことになってしまったってことだろうから、強いて責める気はしないが、報道関係者は、誤ったニュースであったとの認識を強く持って、反省すべきは反省すべきあろう。未だ生存しているとの認識の下で、無理な救助活動を続ける中、もし二次災害が発生し、新たな犠牲者が出たらどうするのだ。

ありのままを、ありのままに報じることの難しさを思う。

 

イラクで人質になった邦人についての報道も、ありのままの事実は疑問疑問のなかである。被害者は若いお方。イラクの、“ありのまま”が単純に知りたかったのではなかったか。既成報道のへの疑問が根底にあったのではなかったか。

 

わたし、最近、幾度かテレビ出演の機会があったが、常に、ディレクター氏の振り付けで動いた。

いわゆる“やらせ”です。

“やらせ”で“わたし”を演じたわたしだったが、あれって、“ありのまま”のわたしであったろうか？

あれこれ思い悩むと、なにがなんだかわからなくなる。

 

それにしても最近の車ってスゴイ。イージス艦みたいですな。電子機器が満載です。

行く先を画面表示するナビゲーション・システムですけど、テポドン誘導にも使えそうですぜ。

使い方解説書は、ややこしくて、ややこしくて、一通り読むのに吐き気がしました。

解説書には、まず、自宅位置をシステムに登録しておきなさいって書いてある。

「貴方にとって一番回数の多い行き先は、ご自宅でありますから」ということだ。

なるほど、ごもっとも。ありのままです。真実です。

で、大いに納得し、システムを音声ガイドモードに設定したうえで、システム順応の稽古をはじめました。

 

今後、もし、わたしが、出先で突発的にボケても、

運転席で「家に帰りたい」とつぶやけば、車は勝手に我が家へ向けて走り出すことになっておる。

自分でハンドル持って、車を走らせるなんて、ダサイことはもうしなくてよろしい。

寝転がっておれば家へ、天国へ、帰り着きます。

レレッ！　それって、霊柩車？　

あれは、寝転がっておれば、天国まで勝手に走るようですな。

エエかいな！！