オーイ!
釣ったフグ(ショウサイフグ)は、
船上でさばく。
内臓・皮など、毒性の強い部位を捨てて、可食部の身だけを持ち帰る。
身といっても三枚におろすわけじゃない。頭も尾もついた状態。
皮が剥かれ、腹腔はからっぽ、目玉もない。寒々とした姿。
不可食部位を投げ捨てるのを、
空からカモメが見ておって、たちまち舞い降りて拾い食う。
ヨシ○が、「オーイ!」と、カモメに呼びかける。
カモメがやってくる。
ヨシ○、臓物を空へ投げる。
と、それが海面へ落ちるか落ちない間に、カモメが急降下し、かすめ食う。
このとき投げたのはキモだった。
一口でパクリ。写真のカモメだ。
キモはヤバイってこと、こやつは知っとるのか!
大きなフグが15尾ほど釣れていた。ヨシ○が、次々料理し、キモ・皮などなどを空へ投げた。
数羽のカモメが、つどつどに甲乙相争って急降下し、奪い合って食った。
写真のカモメは、キモも皮も数匹分を平らげた。
やがて、内1羽が、艇の遥かうしろ海面へ舞い降りたのを観た。
シビレ落ちたようには見えなかった。作法どうり羽をきちんと折りたたみ、食い足りた様子で波間に浮かんでいた。
ところで、
われわれが持ち帰り用に取り分けたのは、毒が希薄な身の部分だけである。
この調子なら、食っても大丈夫なのではあるまいか。
フグ釣り仕掛けである。
引っ掛けじゃない。釣るのである。
フグはあまり賢い魚じゃなさそうだ。強烈な毒で武装しているからと錯覚し、油断しておる。
こんな荒っぽい仕掛けで釣れる魚はフグを置いて他には居ない。