クヌルプ　　

 

“日本列島周航”は、行く先々で、“魚釣り”を、心行くまで楽しみながらの旅としたい。

３年計画のつもりだが、そのことにこだわるつもりはない。

荒天が続けば、その場に艇を預け、自身は自宅へ帰り、休養したりしながらの小刻みの旅。体力相応の旅。頓挫もまた旅につきもの、旅の一形態であろう。

夢、そう、「夢」には終始こだわるつもり。夢の中に住み続けたい。

 

折々の印象を書き綴り、印象記がたまれば「日本列島魚釣り周航記」として自費出版したいものだ。

 

ヘルマン・ヘッセの世界に最近凝っている。

「クヌルプ」（著者３８歳の作品）が好みだ。

主人公クヌルプの漂泊人生が、我がろくでなし人生に見事に重なっている。

クヌルプは、神様と話をしつつ、雪の中に倒れあの世へ旅立つ。

わたし、ひょっとして、嵐の海に一人旅立つ。

 

あれやこれや悔やむことばかりを重ねてきた人生である。

なぜあの時あの道を選ばなかったのか、いくら考えてもわからない。

ぼんやりしていたら、いつのまにか、今日になったのである。

いつの間にかまた明日になるのだろうか。

 

船に乗ってみよう。愛艇「はまちどり」に乗って、海へ出てみよう。

クヌルプの歩みのように。海を行きたい。

 

注・「クヌルプ」

　　初恋が裏切られた（？）時から、クヌルプの漂泊人生は始まった。

　　漂泊の果てに、年老いて故郷の雪のなかに倒れ、神と語らいながら、あの世へ旅立つ。

　　ロマン・ロランと著者ヘッセとは深い交流があったようだ。

ロランはこの「クヌルプ」を好んだ。ロランにして、ここに自分の心の影をみたのだろうか。奇異な感じがせぬではない。