船底塗り  

 

隠居業ってものは、昼寝と、昼酒時間を除けば、結構忙しいもんだ。

いろいろと用事煩瑣のなか、今日は、朝からマリーナへ出向き、愛艇「はまちどり」の船底を塗った。

なんのこれしき、アッと言う間に、塗れるだろうと思っていたが、なんのなんの、ヘトヘトになった。

船底てぇのは、船の下の方なわけで、底に船底塗料を塗るとなると、概ねその下側へ入り込んで、上を見て塗ることになる。

 

わたし、うつむいた人生を送ろうとは思わない。できれば常に上向きでありたい。

で、船底塗りはこの条件に合致しておる。上を向いてハケを使い塗料を塗るに不満は無い。じゃが、これって、実にシンドかった。

身体じゅうあちこちに塗料がついて、もう服ごと捨てるしかない。

ヘットヘトです。一昨日の魚釣りよりもずっとずっとシンドかった。

なぁ〜んも釣れない魚釣りのシンドさって、皆さん、ご存知ですよね。

 

一昨日は、メバルが1匹釣れていたのだけれど、それを氷のクーラーに入れていたのだけれど、なんと、3時間ほど後、その、たった1匹のメバルを触ったら、まだ生きていた。

びっくりしたなぁ〜、

で、同船の他の二人に、こやつを、リリースするか否かの相談を持ちかけた。

全員一致でリリースってことになって、ゆりたろう氏が丁重にメバ子を海へお帰しした。

メバ子はビックリしたようですよ。

あっけにとられたような顔で、水面に横たわっておった。

で、エラを動かすかどうか心配で、注意して見ておったが、動かしたような、動かさなかったような…。

艇は、アンカー入れていましたから、助けたメバルは潮に流され、すぐに後方遥か遠くへ流れてしまった。

「カモメに食われなければ、大丈夫」

と、ゆりたろう。

…カモメは舞い降りませんでした…。

きっと、メバ子は竜宮へ無事戻って、乙姫氏に告げております。

「波平氏・ゆりたろう・武ちゃんまんの、お三人に、あたし命を助けてもらいました」ってね。

 

あぁ〜くたびれた。

まだ、竜宮からの、礼者は来ないです。来なければ来ないでよろしい。約一足、下駄を預けたってことにしてもよろしい。

 

船底全部塗ってへットヘット。

でもねぇ〜、正直言って、一人で、たった一日で、船底を塗り終えることができるとは思ってなかった。

やるもんだなぁ〜、オイラも!