かっとうのなか　　

 

ジイチャンらの肝っ玉を震撼させる冷え冷えした寒い話がありますよね。

なんやそれ？

お気がつきませんか？

熟年離婚ですよ。老年離婚って言った方がよいのかな？

定年退職後は、かみさんと一緒に温泉巡りでもして、ノンビリ暮らしたいと思っていたら、

かみさんは突如離婚を宣告し、退職金の大半を強奪し、去ってゆく。

 

幸いなことに、わたしの身近には、まだこういうのは聴かないけれど、その分、ばぁさんらは、我慢しているってことかな。

で、世間的には、そう、一般に流布している話は、ばぁさんらに分があって、ジイチャンらは、もっぱら捨てられる側なわけだけど、

どっこい、ジイチャンらにも、なんぞ言い分があってエエのじゃないか。

 

わっしゃのかみさんは、まぁようできたオナゴで、別段、わっしゃに不満があるわけじゃないけれど、

それでも、定年退職後、四六時中自宅に居て、かみさんの動きを見ていると、幾つもいくつも、アレレってビックリ発見がありますな。

一日２４時間あって、このうちの何時間働いたら（働くってのは、どういうことかが問題なのだけど）彼女等は“忙しい”って気持ちになるのでしょうね。

ひがな、ボヤァ〜と過ごしながら、

「今日はとっても忙しくてお昼寝もできなかったわ」

なんてことを平気で言いますよ。

 

定年を間近にひかえ、床の根太が腐ってフワフワしたりし始めたこともあって、自宅をリホームしたわけですが、今後の本格的老後生活に対応すべく、ガスは止めてオール電化にしたですよ。

電気ってぇのは、面白いですな。

曜日ごとに、時間帯ごとに、電気使用料金が違うのですね。

平日の昼間料金と、休日の深夜料金とでは、値段に天地ほどのヒラキがある。

 

で、かみさんの作戦は、

昼間は昼寝して、深夜にガバッと起きて仕事をする。

家事全般に取り組み、集中して電気を使いまくる。

けなげだねぇ〜、

深夜１１時過ぎから仕事を始めて、朝方７時までに仕上げる。

この間に、炊事・洗濯・掃除・ＴＶ観賞などなどのことを徹底してやるわけだ。

わっしゃ、なぁ〜んも、そういうことを知らんから、晩飯食って酒呑んで、風呂入って、そのまま寝床へ直行だ。夕方８時過ぎにはもう高いびきですわ。

 

反作用がありましてね、

かみさんは、朝は、１０時頃まで寝ていて起きてこんよ。

わたし、なんぼなんでも、たたき起こしてやろうと思うわけだけど、どうしたもんでしょうね。

 

正直言いますとね、わっしゃ、ついこないだまで、かみさんの深夜作業のことをなぁ〜んも知らんかった。

だから、朝、たたき起こしたりしておった。

知ってみると…、

「今日はとっても忙しくてお昼寝もできなかったわ」

と、彼女が言うのが、まんざらでもなかったってことになる。

 

今日は木曜日ですよね、そして朝の８時半。

かみさんは、まだ、寝ております。

わたしと、飼い犬２匹は、朝５時から起き出していて、もう、散歩も済ませちゃった。

木曜日は、地区のゴミ回収日。可燃性のゴミを出す日です。

玄関たたきに、昨夜かみさんが整理し袋詰めしたわが家の可燃性ゴミが、２袋と、その他が二つ置いてあった。

これを収集車が来る８時までに運び出すのは、わたしの数少ない聖なる仕事です。

当然、もう済ませました。

 

あぁ〜、だんだん腹が減ってきたゾ。

かみさんは、まだ寝ておる、我が腹は減る…。

１０時まで朝飯を待つか、なんぞ台所を漁って先に食ってしまうか。

毎朝のことだけど、今日もまた、避け得ないこの葛藤（かっとう）の中に、わっしゃ苦しみもがいておりますですよ。